大腿部・下腿部の痛み
大腿部打撲
大腿部を強打し、筋が損傷する(筋挫傷)。大腿部前面の筋挫傷はサッカーやラグビーといったコンタクトスポーツに多くみられる。
発生機序
大腿四頭筋部の強打。コンタクトスポーツで相手選手の膝、肘、ヘルメット、あるいはキックなどにより打撲を受けることで発生する。
症状
受傷直後は鈍痛と程度にもよるが運動制限がみられる。症状は時間の経過とともに強くなるが、これは引き続き生じる腫脹によるところが大きい。腫脹が強いと筋内の出血や腫脹により筋内圧が上昇し、皮膚は緊張が強まり光沢を帯びることがある。翌日には患部の腫脹、圧痛、膝関節の屈曲制限がみられ、症状の悪化をみる。まれに、筋内圧が過度に上昇し、急性のコンパートメント症候群を合併することがある。
また、慢性化すると、骨化性筋炎の合併や筋組織の拘縮により、膝関節の屈曲制限が残存することもある。
大腿四頭筋肉ばなれ
発生機序
大腿直筋に多く、股関節伸展位、膝関節屈曲位で収縮させた時に発生する。
その他の危険因子として、➀筋疲労、➁再発、➂柔軟性、コンディショニング低下、➃不適切なウォーミングアップなどがあげられる。
症状
急な大腿前方の痛みを感じ、重症度に応じてさまざまな程度の腫脹、皮下出血斑、硬結および膝関節屈曲制限が生じる。皮下出血斑は24時間以内では現れにくい。完全断裂では直後に陥凹を触れることが多い。大腿四頭筋を収縮する際に退縮した塊を触知することができるが、時間の経過とともに腫脹により段差が触れにくくなるので、24時間以内に確認してみる必要がある。
再発予防
とくに初めての受傷の後では重要である。
1)筋持久力トレーニング
疲労した筋は疲労していない筋に比べ肉ばなれを起こしやすい。ストレッチやウォーミングアップも肉ばなれの予防に有用である。
ハムストリングスの肉ばなれ
発生機序
ハムストリングスが収縮しようとしている状態で伸展されたとき、発生しやすいといわれている(遠心性収縮)。下腿が振り出されてから接地にいたる際や接地から蹴りだされる際に起こりやすい。大腿四頭筋肉ばなれと同様に筋腱移行部で生じやすい。まれではあるが、膝伸展位で股関節屈曲を強制された際にもみられ、この場合は強い介達外力により坐骨結節部付近で完全断裂が生じる。
受傷時、鋭い、力の抜けるような大腿部後方の痛みや、場合によっては音が聴こえるような、突然の衝撃を感じることが多い。
その他の要因として、➀筋疲労、➁先行する筋損傷の存在、➂適正なウォーミングアップの欠如、➃筋の柔軟性の低下、➄下肢長の不一致、➅電解質の枯渇、➆左右のハムストリングス筋力のアンバランス、➇ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力のアンバランスなどが考えられている。
症状
損傷部位に圧痛があり、腫脹、皮下出血斑、筋の硬結や陥凹などが重症度に応じてみられる。陥凹は損傷後数時間経過すると、血腫が欠損部を満たし触れにくくなる。慢性期では容易に欠損部を触れることができ、ハムストリングスに力を入れると陥凹をみる。
腹臥位とし、膝関節伸展を試みる。重度損傷では完全に伸ばせない。
成長期の重症例では単純X線写真で坐骨結節の裂離骨折をみることがある。
アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎
アキレス腱の障害は、腱自体の炎症であるアキレス腱炎とアキレス腱を包むパラテノン(腱傍組織)の炎症であるアキレス腱周囲炎に区分される。
発生機序
ランニングなどによりアキレス腱部に繰り返し外力が加わることにより発生する。踵骨軸の外反、外反偏平足などの足部のアライメント不良の存在、下腿三頭筋伸張性の低下などは発生の因子となりうる。
アキレス腱断裂
アキレス腱は下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)の停止腱として踵骨隆起に終わる強大な腱であり、この腱の断裂では高度の機能障害をきたす。スポーツ活動によって発生することが多く、とくに跳躍動作の着地時に好発する。また、発生には腱の変性が関与するとされるため、中年以降に多くみられる。
発生機序
ジャンプの着地時など、アキレス腱に強い張力が加わった際に発生する。断裂時には断裂音(pop音)を聴取することが多いが、不明な場合もある。患者は一般的に「バットで叩かれたような」、「ボールがぶつかったような」感覚を訴える。
症状
受傷時に断裂音を感じたと訴えることが多く、アキレス腱断裂部が陥凹して下腿三頭筋に力が入らない。疼痛は一般に軽微であるが歩行は困難となる。踵から接地してつま先で床を蹴るような通常の歩行は不可能である。足指、足関節の屈曲(底屈)運動は長指屈筋、長母指屈筋、後脛骨筋の作用によって可能であるが、つま先立ちは不能である。断裂部位の陥凹は出血の有無や経過時間などにより触知がむずかしくなる場合がある。下腿三頭筋を把持した際、健側では反射的に足部の屈曲が誘発されるが、患側では動かない。
過労性脛部痛(脛骨過労性骨膜炎・シンスプリント shin splint)
発生機序
ランニング、ジャンプ、ターン、ストップなどに伴う足関節の反復性底背屈により、下腿後面内側筋群に疲労が起こり、これらの筋の伸展性低下を引き起こし、その結果、下腿後面内側筋群の牽引により脛骨骨膜に損傷や炎症をきたす。
さらに、足部疲労によるショック吸収能の低下や足部過回内も原因となって起こる。
症状
脛骨内側後縁部に沿った疼痛、圧痛を主訴とする。徒手検査としては、ストレッチング痛、抵抗運動痛がみられる。また、偏平足や回内足、膝外反などのアライメント異常がみられれば脛骨過労性骨膜炎を引き起こす可能性が高い
脛骨過労性骨膜炎では、単純X線像で異常所見がみられない。
加古川市 真 接骨院では患者様一人一人問診にじっくり時間を取り、主訴・患者様の希望・懸念・既往歴・生活歴等を把握してから視診・触診・計測評価・動的評価・神経学的評価・各種徒手検査を行い患者様が訴える不調の原因を見つけ出し、患者様一人一人に合った手技・RICE処置・ストレッチ・テーピングを施し不調の原因を改善、健康な身体へと導いていきます。